少し余裕を持って宿を出て泊港へ向かう
どんよりとした雲が広がり天気はあまり良くはない。
トップシーズンになるとチケットを求める人で行列がすごいことになるが、オフシーズンということもあり人影はまばら。
昨日の乗船申込券を窓口で提出し、予約していたチケットを受け取る。
乗船券売り場の向かいには「ローソン」と「マーミヤかまぼこ」というお店がある。
マーミヤかまぼこは文字通りかまぼこのお店でもあるのだが、様々なお弁当やおにぎりなどが販売されている。
オフシーズンの離島はランチを食べられるお店が休みだったりすることもあるので、ここで購入するのがおすすめ。
ボリュームがあって値段も手頃。
味はそれなりだが旅の雰囲気を味わうにはいいと思う。
そんなにお腹が空いていなかったので、おにぎりを一つ買い奥のベンチでさんぴん茶と一緒に食べながら時間を待つ。
さんぴん茶は沖縄ポッカのものが個人的にはお気に入り。
香りと味のバランスが好み。
送料が高くついてしまうが、自宅でも沖縄から取り寄せて飲むくらい気に入っている。
気がつくと乗船時間も近づいてきた。
すぐ近くの乗船場所で人が来る前に写真でも撮りに行く。
渡嘉敷島行きと書かれた看板を通りすぎ乗船場所近くまで来たが、もう少しで乗船開始とは思えない船の雰囲気に嫌な予感がした。
もしやと思い場所を調べる。船の出港場所は2箇所あるのだ。
今日の船は高速船。
チケットが売っている建物から北西に少し離れた場所から出港だった。
重いスーツケースを引きずって、急いで向かう。
実際はそこまで急がなくても間に合うのだが歩いている人が誰もいないのもあり早足になる。
5分くらい歩くと船の姿が見えてきた。
それと同時に、乗船する人がちらほら見える。
長いスロープを歩きチケットを見せて乗船。
進行方向から見て左奥に座る。
周りに人は全くいない。前方にどうやら少しだけいるようだ。
この船は新しいのか非常に綺麗。
シートも皮張りで落ち着いた雰囲気。
シートに挟まっている冊子を上の空で眺める。
内容は不思議なくらい頭に入ってこない。
気づくと船がゆっくりと動き出す。
1人で泊港から船に乗るのは初めてで今まではあまり外を眺めることはなかった。
湾内は想像より広い。
外海に出る直前ホテルかマンションを建設しているのが見える。
位置からすると便利とは言い難い立地のようだが、それが気にならないほど何かメリットがある建物になるのだろうか。
調べてみると「【公式】ホテル アンテルーム 那覇 | HOTEL ANTEROOM NAHA」というアートとカルチャーを発信するホテルだということがわかった。ギャラリーやレストランを併設。部屋は病院の個室みたいに見えなくもないがなかなか評判がいいらしい。
そんなことを考えているうちに、海の色が水色から濃い青に変わり、
船はさほど揺れることもなく水飛沫を上げながら走っていく。
反対側の窓から緑に覆われた島が見えてくる。
もう着いたかと思ったがそれはどうやら「前島」
ずっと無人島だと思っていたのだが、調べてみると現在1人住んでいる方がいるらしい。
戦後約380人まで人口が増えたこともあるが、主要産業であったカツオ漁の衰退により人口が減り1962年〜79年までは無人になっていた。
定期船も出ていないから上陸の手段はないのかと思っていたが、チャーター船やツアーで行ける。https://acchi.okinawa/plan/26216
またなにもない海を走り次に見えてきたのは幾重にも重なった岩の地層。
先ほどと違い船からは緑も見えない。
城島(グシクシマ)というらしいが、大潮の干潮時には渡嘉敷島から歩いて行けるほど近い小さな無人島。
山の頂上付近は緑に覆われ城跡になっている。
ほどなくして到着のアナウンス。
乗船時間は70分。景色を眺めたり今日の予定などを考えるとあっという間に到着。
船の出口には思ったよりも人がいて大きな船なんだなと実感した。
タラップを渡ると目の前には駐車場。
住民の方や仕事関係のお出迎えの車に混ざって、宿の方が看板を持って迎えに来てくださっている。
名前を告げて車に乗り込む。 他に同じ宿の方はいないようでそのまま出発。
宿は阿波連ビーチ近くにあり、山を超え10分くらいで到着したのは「民宿 とみ乃」
チェックインには早い時間だったが、特別にそのまま部屋に案内してくれるという。
申し訳ないと思いつつもとてもありがたい。
宿に着き若いご夫婦で経営されていること、島の話や宿のルールなどを一通り説明を受けて部屋へ。
非常に清潔に保たれた宿で部屋にシャワーやトイレもある。
機材が多い身としては部屋には鍵がかけられるのは安心できる。
必要な荷物をまとめて早速外へ出かける。
阿波連ビーチに向かって少し歩くと学校が見える。
看板を見ると阿波連小学校と書いてある。
2019年の児童数は23人5年生だけ8人で他の学年は3人。
グラウンドは広くかつてはたくさんの子供たちがいたのだろうか?
道の先に見える海を見ながら階段を下りる。
数年前の夏に日帰りで来たときとはまったく別の海のような景色。
同じ海なのに天気次第でこんなにも色が違うのかと思った。
一瞬晴れ間が見えたかと思えば、厚い雲に覆われたり風が強いせいか雲が流れるたびに目まぐるしく天気が変わる。
風が少しおさまってきたので、今回試してみたかったバイノーラル録音をテストしてみる。
ウィンドジャマーをつけているが、ちょっと風が出てくるとボワッとした音が入ってしまう。
もっと大きなものを使用しないとダメなのだろう。
しかもかなり広範囲で音を拾うことがわかった。
人間の耳では微かに聞こえた船のエンジン音がそれなりのボリュームで録音される。
いろいろ試しているうちに雲がさらに厚くなり、風も収まらないので近所を歩く。
この集落にある唯一の商店「新垣商店」に行き、オリオンビールや簡単なおつまみを仕入れて一度宿に置きに。
部屋で少し休んでいると部屋に陽の光が差し込んできたので慌てて海へ。
風も穏やかなので早速ドローンを飛ばす。
空から見る阿波連ビーチは波打ち際から見る景色とは全く違った。
宿の屋上には洗濯物を干したり、のんびり過ごせそうな椅子やテーブルがあったのでそこで夕食前に先ほど購入したお酒を飲むことにした。
飲み始めて5分もしない間にまた雨がパラついてきたので大人しく部屋に戻る。
程なくして夕食の時間。 民宿選びで重要視している一つであり、食事がイマイチだと旅自体がつまらなくなってしまう。
見た瞬間にこれは当たりだと確信できる内容。
味付けももちろんだが、お米がとても美味しい。おかわりもできるようお櫃で提供されるので気兼ねなく食べられる。
お酒もリーズナブルでオリオンの生が380円、泡盛水割りセットが230円 1合500円 4合1800円。一合で注文すると徳利に入って出してもらえる。
宿の方と話しながら呑んでいたら飲み過ぎてしまい部屋へ。
とてもいい気分で渡嘉敷島1日目を終えることができた。
とてもいい気分で渡嘉敷島1日目を終えることができた。